開催しました!「親子避難所宿泊体験2022」

待望の宿泊体験を実施できました!参加者の声がとても貴重です。
去る11月12日(土)から翌日にかけて親子避難所宿泊体験を開催いたしました!
済美小学校の児童および保護者を対象に参加希望を募り、自ら避難所体験を希望されたご家族に参加していただきました。
この記事では、開催当日の様子や参加された方の声を共有し、またそこから私たちが得たことについてご紹介いたします。
もくじ
開催概要と結果
日時 | 2022年11月12日(土) 19時から13日(日) 9時まで |
場所 | 奈良市立 済美小学校 体育館 |
対象者 | 奈良市済美地区の住民 / 家族単位1名以上 |
参加費 | 無料 |
天気 | 晴れときどき曇り、気温/9.8℃〜17℃ |
参加者数 | 11組 / 37名 |
運営スタッフ数 | 9名(最大) |
使用備品数 | 非常食:150食、間仕切りテント:15張り、毛布:38枚、マット:30ヶ |
企画・運営 | 済美地区地域自治協議会 安全安心部会 |
子育て家族を対象にした目的
避難所宿泊体験の企画は、昨年夏から構想がありましたが、そのコロナによって2度の延期ののち、今回待望の実施となりました。
有事の際に避難所を開所する役割を担う組織で、①「コロナ禍の避難所運営」を体験したいということから話がきっかけで構想が始まりました。
そして「子育て家族」を対象にしたことにも、実は、大きな目的がありました。地域の防災訓練には、高齢者の参加者が多く(平均年齢70歳)、若い世帯の参加者が少ない現実があります。②若い世帯に防災の意識を高めてほしいこと、併せて運営者の高齢化が地域の課題で、いかに意識の高い保護者を、つまり将来の地域の担い手とどのように接触するかを考えてのことでした。単なるイベントの企画・運営ではなく、地域の資源であるここに住む人と出会い、関係性を作るきっかけになればと思っております。
また、この場をお借りして、開催を快諾いただいた済美小学校 丸井学校長に感謝の気持ちをお伝えいたします。ありがとうございました!
開催当日の様子
では、開催当日の様子をご紹介いたします。
時系列でご紹介いたします。
受付、テント設営、備品配布


2022年11月12日(土) 18時45分開場、19時に受付開始しました。
ますは、体験会の主催者である済美地区地域自治協議会 会長の池口さんより開会の挨拶。そして、協力団体※の代表者様からひと言。
早速、テントを設営します。新品のテントで箱から取り出すところから、あっという間に設営が完了。
配布する毛布と持ち物をテントに設置して、ひと段落。
※済美地区女性防災クラブ、日本赤十字奉仕団済美分団、奈良市消防団春日分団
夕食(非常食体験)


テント設営を終えた19時45分頃、夕食です。 非常食とインスタントの味噌汁を配膳。非常食は、尾西フーズの五目ごはんです。160ccの熱湯を注いで15分※待つと熱々の夕食が出来上がります。「初めて食べました!」「思っていたよりも美味しい」「え!5年も保存できるんですか」と。家族ごとに黙食で食していただきました。私もいただきましたが、しっかりと味がついていて、ボリュームもちょうど良かったです。お湯の準備や配膳に、三浦教頭先生も手伝いに来てくださいました。
※水の場合は60分
映像鑑賞


食事を終えて、20時10分頃。映画鑑賞会を行いました。
この後の校内探検(肝試し)を想定して、ちょっぴり怖い日本むかし話「耳なし芳一」※ほかを鑑賞。大画面で迫力がありましたが、子供たちはトランプをしたり、、それぞれの遊びをしていました。
※使用したビデオは、奈良市/視聴覚ライブラリーでお借りしたものです。
消防車見学


ちょうど、秋季全国火災予防運動でパトロールをしていた奈良市消防団春日分団のポンプ車に無線機で連絡し、立ち寄ってもらいました。
普段、間近で見ることのできない、消火ポンプや運転席に座らせてもらって記念撮影。特別な配慮に感謝です。
校内探検(肝試し)

21時頃、小学校を校内探検。まずは、家族ごとに懐中電灯を持って真っ暗な校舎へ。暗闇の校舎には5つの文字と恐怖が待っています。
静かな学校内に悲鳴が響いていました。
消灯・就寝


22時には体育館の水銀燈が、全て消えました。
15分ほど前から、少しずつ光を落としていき、一度は子供たちが、騒ぎ始めて「寝れるのか、、」心配になりましたが、徐々に就寝モードに。
消灯後は、みんなテントの何で静かに過ごしていました。
就寝時の気温はそれほど低くなかったのですが、朝方3時頃には、冷え込んできて毛布に包まるか、寝袋が必要なことを体感しました。
起床・ラジオ体操

予定通り、朝6時に静かな音楽とともに、体育館の水銀灯を1つ2つ点灯しました。
テントからから、そーっと出てきて「お、おはようございます」。体育館の洗面所で顔を洗ったり、歯を磨いたり。
6時半には運動場で、ラジオ体操第一。雨予報だった天気予報は外れて、気持ちいよい朝日を感じました。
朝食(非常食)


6時50分ごろ、朝食の時間です。
運営側で用意した非常食(パン)とスープの配膳。非常食のパンは、ミドリ安全 サバイバルパンⅡです。
皆さん協力してスムーズな準備ができました。
朝食後は、中庭で焼きマシュマロ。楽しく朝の時間を過ごしました。
片付け


さて、片付けの時間です。
間仕切りテントの片付け(折り畳み)は、ウワサ通りに難しくて、何度やってもうまく畳めませんでした。
参加者同士が助け合ってなんとか進み、見学を兼ねて防災倉庫に収納しました。
防災倉庫近くには、小学校自慢のビオトープでザリガニ釣りを。初めて近くまで行った保護者もいらっしゃいました。
防災クイズ


片付けが終わったのが、8時30分。解散の前に、みんなで防災クイズ。防災クイズは、こくみん共済さんのサイトを参考にさせていただきました。
主に非常食についてにクイズを10問、子供たちと一緒に考えました。
積極的に答える子供たちと解答に驚く保護者の声が体育館に響いていました。
シェア会・解散


そして、最後に感想シェアの時間。
それぞれの感想を発表しました。
もちろん子供たちも。さすが高学年のお姉さんはしっかりと発表できました。
みなさんの感想がとても共感でき、シェアは終わりだけではなく、スタート時にもやれば良かったと反省。
以下、発表された一部ご紹介します。
- (避難所では)非常食、お味噌汁のような温かい食事が大事だなと感じた
- 消灯の後、音が響いて”恥ずかしい”気持ちになった
- 被災体験、避難所体験がなく、とても良い経験になりました
- コロナ禍で、しかも学校で開催できることが「済美すごいな!」と感じます
- テント張りは初めてでしたが、教えてもらいながらできた
- 自分も含め、子どもたちにとって今回の体験は良い機会だと思う
- 家の中のどこに非常食があるのか全く知らないことに気づいた
- そいうことを家族で共有することが大事だと思った
- テントを張るにも一人ではできず、助け合いの必要性を感じれた
- こういった場所での出会いがとても良いと感じた
参加者の声を聞いてみましょう
では、 参加された皆さんの声も聞いてみましょう!
まず、アンケート回答者の全てが「最も高い満足度評価」を選択されました。
企画段階から予想していましたが、防災について意識の高い皆さんが参加されたことが高い満足度評価につながったように思います。しかし一方で、以下の声から分かるようにご家庭内の防災への備えが完璧という方ばかりではありません。課題を感じていて、何らかのきっかけを探されていたのではと考えています。とても貴重な声を聞かせていただきました。※アンケート回答数7件(2022年11月14日現在)
参加しようと思ったきっかけ理由
- 避難所の体験に興味があった
- 防災への意識を高めたかった
- 防災の備えを知りたかった
- どういったギア(道具)を使って設営から運営するのか知りたかった
- 楽しそうだった
- 避難所体験をできる機会は滅多にあるものではない
- 体育館なら子供と一緒に気軽に参加できる
- 単純に子供たちが楽しめそうだなと思った
- 親子でかつ他の方がおられるところで寝泊まりする経験ができること
参加してみていかがでしたか?
- 想像していたのと実際は違っていました
- 次回は夏の暑い時に開催してほしい
- 体験してみないとわからないことが多かったと感じた
- いろんな気づきがあり、考えるきっかけになった
- 子供たちは目一杯楽しめて満足だった
- テントや毛布が想像よりしっかりして安心感があった
- 地域の方に支えていただいてる現実にもっと感謝しないといけないと感じた
- (いろんな企画があり)避難所体験ながら子供たちはすごく楽しそうだった
- 被災して避難所へ行くと言う自分なりの設定で参加した
- 持ち物から考えることが良かった
- テント設営から片付け、、、 協力して行動することなど経験できてよかった
- もっと寒い時期だと不足する物品がたくさんあることに気づいた
- 災害時について、 子供と一緒に考えることが難しかったが、良いきっかけになった
- 色んな気付きがあり、考えるきっかけに
避難所での発見や気づき
- 視覚的には完全に遮断することができる
- 一方、音は全く隠せない
- 1時間ごとに目が覚めて熟睡できない
- ルールを定めなくても協力する姿勢が出来てくる
- テントを設営すると体育館の中心が空いていた(救急や子供たちが遊ぶスペースなどが良いかも)
- マットはあるが床が硬く、寝心地を良くするには厚みのある敷物が必要
- 周りが静かになると周囲の声や物音が響いてくる
- 子供たちの遊び場の確保が必要
- 跳び箱等の設備は、片付けたほうが安全
- テントのキャパは大人3人が限界
- 非常食は意外とおいしかった
- 暑い時期はもっと寒い時期は、 今回のようにはいかないだろう
ご家庭でしている備えランキング
- 備蓄(食料等)
- 防災用品(避難リュック等)
- 家族で話し合い
- ミサイルが飛んできたときの対処方
今回の体験から”実行しよう”と考えていること
- 避難用のリュックを作ろう
- 水が使えないことを想定した準備
- 100均ショップを 活用し、手軽なグッズから揃えてみよう
- マット、乾電池を備蓄しよう
- 子供と防災について日常から話をして、危機管理意識を高めたい
- 避難食の賞味期限の確認と定期点検、入れ替え
- 子供たちと具体的な”もしもの時”の話をしよう
- 備蓄(食料等)を用意しておこうと思いました
企画運営についてのご要望やご意見
- 実際に使用する避難所物品を使わせていただいた事が貴重な体験でした
- 次回があるなら違う機構(季節)の時に参加したい
- 防災トイレのデモンストレーションがあれば見たい
- このような体験を多くの方に経験していただくことが、 地域の防災意識を高めることにつながると思う
- 運動場でテントを設営して避難所体験をするのも面白いかも
- 体育館には、防災本部や救急、休養スペースなどがあると実践的かなと思いました
- 防災食やテント設営などの講座を開けば、気軽に参加できるかも
- 食事のお手伝いや片付けなど、参加者も積極的に動くように声をかける
- お互いに協力すれば一体感が出るので、主催者と参加者が分かれずにみんなで動く
- 子供たちに体験してもらう事はとても重要
- 肝試しや焼きマシュマロなどユーモアのある企画があってよかった
- 次回があるなら、何か不自由を経験できる企画があると災害の心の備えになるかも
- 例えば、 電気や水が使えないなど
- 防災グッズのワークショップや一次救命やケガの応急処置講座
- 真夏の体育館となるとどんな環境か・・・と少し心配になりました
- 素晴らしい企画とご準備と実施だったと思います
- 皆様とても温かく接して下さり本当にありがとうございました
【番外編】持ち物チェック
持ち物については、運営者側で用意しているもの①間仕切りテント②毛布③非常食の3点。その他のものについては、必要と感じるものは持ってきてもらうようにお伝えしていました。 案の定、参加申し込み時に「何を持っていったらいいですか?」という問い合わせが寄せられ、前述の主旨をご説明すると「そういうことか(なるほど)」と納得いただけました。
では、実際にどのようなものを持参して、不足を感じられたのか、2組のご家族をご紹介します。
父母と2名の男の子、4名で参加
持ってきたもの
- 食料(主食)
- 飲料
- お菓子
- 毛布
- 寝袋
- 衛生用品(歯ブラシ、タオル等)
- 懐中電灯
- モバイルバッテリー
- スマートフォン
- ポケットWi-Fi
- 子供の遊び道具
持ってきたら、あったらよかったもの
- エアマット(床で 寝るのが慣れていないと腰にくるかと思います)
- 箱ティッシュ
今回、1泊2日で何か足りないものがあれば取りに帰る、近くで購入できる環境でしたが、本当に被災者場合はタオル掛け、ハンガー、バケツとか出てくるでしょうね。
父と男女3名の小学生4名で参加
持ってきたもの
- お菓子
- 毛布
- 衛生用品(歯ブラシ、タオル等)
- 懐中電灯
- 飲料
- モバイルバッテリー
- スマートフォン
- 子供の遊び道具
- パジャマ
持ってきたら、あったらよかったもの
上靴とスリッパ
体験会から得たこと
まずは、無事に事故やケガなく終えれたことは、とても良かったです。運営スタッフや参加者の皆さんのおかげです。
そして、開催の目的であった、こちらの2大目的は達成できたと実感できております。
- 間仕切りテントを活用したコロナ禍の避難所体験
- 若い世帯の方を対象に意識の高い地域の保護者との出会い・交流
企画当初は、そもそも参加者が集まるのかが、議題に挙がって不安いっぱいでしたが、テーマや内容によっては地域の防災訓練とは別の層にメッセージが届くことを実感しました。また、内容が未完成であること、自分達で考えて行動するというテーマにもヒントがあるように思います。今回は、運営者側も正解を持っていない状態で進めたことが、かえって良い環境となり、一緒に考える、一緒に作る体験会になったのでしょう。
一方で参加者の声にもありますが、「不自由な体験」をどのように提供できるかが、次回があるなら重要なテーマになると考えています。
今回、「楽しむ」というコンセプトを大事にして、校内探検(肝試し)や映画鑑賞、防災クイズ、焼きマシュマロなどを盛り込みましたが、与えられる楽しみではなく、防災企画ならではの自分自身の気持ちや思いから感じる愉しみを提供できるものにできればとフワっと考えております。
できることなら今回、参加してくださった方々と一緒に企画したいと企んでおります(笑)